お国違えば・・・

以前、現場仕事に入ってた時のはなし。


とある ごくマイナーな趣味のモノを扱っておられるお店
・・・でも、熱狂的なファンが世界中におられ
有名作家の作品は、高値で飛ぶように売れる。


そんなお店を作っていたときの話。


店舗新装オープンのお祝いに
デンマークアメリカから その世界では有名な作家が来られていた。


コッチは、仕上げまで もうすぐ!って段階で忙しいのに
イッパイ話しかけてくる。


とくにデンマークの作家。


エビスの黒ビールがウマイウマい!ってな感じで
恐ろしいハイペースでひたすら飲み続けてる。


私は、英語しゃべれないし、忙しいし、
テキトーに受け答え。


ちょうどその時私は 店の看板を 彫刻ノミで彫っていたからか
興味シンシンで見に来る。


相手は世界的に有名な工芸作家。
しかも木がメイン。


スルドイ目つきで何やらしゃべってくる。


単純な感情はわかるけど、
専門的な会話が成立するハズがない。



しかも相手は酔っぱらい(笑)


どうやら 日本の道具や作業手順にとても興味があるらしい。
でも、大したもので いくら酔っても
こっちの承諾なしに 道具に触ろうとしない。


まるで子供のように 道具に顔を近づけ
触りたそうにコチらを見る。


私は 笑いそうになるのをこらえながら
黙々と作業をつづける。



職人としてのマナーは酔ってても守る人らしい。



見るに見かねた店主が通訳に入り、
【そのカンナ 貸したってくれへん?】って言われた。


それと、要らん木の端材が欲しいらしいことがわかった。


そのデンマークのおっさんは、カンナを見て すぐに刃の調整をした。
驚いたことに手順は日本の方法と同じ。


でも、削るのは 【押し切り】
日本人は 手前へ引く



ノコギリでもそうだが、西洋では基本的に 押して切る。
対して日本は 引いて切る。


そして日本では カンナで仕上げるところを
西洋では ペーパーやヤスリで仕上げる。


木に対しての根本的な考えが違う。


彫刻の場合も、日本では『刃の跡』を美しく魅せる感性があるが、
西洋の場合、ペーパーで均したり、塗料でごまかしたり、サンドブラスト仕上げにしたり


作家にもよるだろうけど 基本的な感覚が違う。



でも、私の彫り方に随分興味をもってくれたのか?
ただ、酔っぱらった勢いなのか?

自分の作品を私にくれた!


ごく小さなものだが
普通に5〜6万万円で買い手がつく商品、
カンナを貸して 遊んでもらっただけで
もらえた事にビックリした。


店主曰く 私の作業に共感したとか言ってたけど
ほんまかどうか・・・・あの酔い方は尋常じゃなかったし(笑)


その作家は 身ぶり手ぶりで 板材と板材の寸法合わせの手順などを教えてくれた。


直線じゃない板同士を 直線じゃないそのままで寸法合わせする。

こちらでは見かけない手順だった。



これは、緊急の応急処置的な仕事の際に役立ちそう。



このとき、欧米の工芸作家が日本に来た目的のひとつに
良質の【竹】の入手があった。


中国や東南アジアからの竹は 繊維が荒く
節付近の緻密な雰囲気がない。
どちらかというと雑然とした感じ。


本当は、中国は広いから 色んな竹が採れるはずなんだけど
情報が入らなかったり、ヘンな処理がされていたり。


竹って、伐採時期が限られていて
水を吸い上げる時期に伐採すると 数日でカビがはえてスグに腐る。


そのせいか、中国産は 焦げ目がつくほど火入れしてあったり
薬品っぽい処理がなされていた。


日本でも確かに油抜き工程で 直火にかけることがあるけど
中国産はちょっとやり過ぎな感じだった。
皆が皆 そんなことはないんだろうけど。


・・・で、欧米の工芸作家たちから 竹について随分聞かれた。


エジソンも こんな感じで世界各国の【素材】を探したんだろうか・・・・。



日本人って 結構 【線引き】にこだわったりする。
私が 欧米の人に感じたのは 【線引きが少ない】いわゆる【ボーダーレス】って感じ。




私に絡んできた(笑)デンマークの作家は、
日本でイッパイ売って 本国へ帰る前に カナダでサーモン釣りして、
アメリカでおこなわれる その業界の世界最大のショーでも売って、
十分遊んだ上でデンマークへ帰るという。



価値観というか 心のゆとりの持ち方が 根本的に違うんだな。




このフットワークの良さと のめりこみ方は勉強すべきだ。


ホンマに、自分の関心のあるものに対して のめりこみ方がハンパじゃない。



竹の話したら 【今から竹を見に連れて行け!】 って絡んできたし(笑)


【俺は仕事やってんねん!】 って日本語で言ってやったら
なんとなく通じてるようだったのが笑えた。



いや・・・でも、今考えたら 仕事終わってからでも
竹を見に連れて行っても良かったかもしれない。


あの人たちの感覚で・・・ どんな反応しただろう・・・・
見てみたかったナぁ〜。


お国が違うって ・・・・オモロイな。
 



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