お客さんが育てる店

立場や視点が変わるとズイブン『判断』が変わるもんだ。
私は、『お店』っていうのがとにかく好きで、
学校を卒業すると、『常連』にあこがれて通ったものだ。


・・・って言っても、高いお店じゃなく 安いお店。


今まで『コレ!』と決めたお店には
随分通ったものだ。


そして、言いたいこと言って
一丁前な『批評』なんかやっていたもんだ。


今 思い出すと、 笑える。





一番よく通ったお店は ジャズ喫茶だった。


当時コーヒーの飲めなかった私は
毎日『紅茶』一杯で、 何時間も粘った。


そのジャズ喫茶は、 とてもイチゲンさんが入れるような店じゃない。

『常連』のたまり場だ。



みんな 好き放題 言いたいこと言いながら
『ひととき』を過ごして ・・・・去っていく。


私は その様子を ひたすら眺めていた。


『この店は、 ・・・いったいなんなんだ???』



小さなゴキブリが 平然と歩いている小汚いカウンター。

とても『生モノ』は注文したくない。



好き嫌いと エコひいきのカタマリの マスター。



ジャズ喫茶なのに、 焼き魚定食や 刺身なんかある。


『本日のおすすめ』って書かれたホワイトボードには
居酒屋的なメニューがズラリ!
【くもこ】や【白魚】なんかが書かれているかと思えば
【小芋のたいたん】や【カツサンド】なんかもある。



マスターの独断と偏見
そして常連からのリクエストに応じて
日々メニューが変わる・・・というか増殖しつづける。


お客さんが【あ!】と言えば 【これか?】 ってな感じのやりとり。


瞬発力というか アドリブのカタマリというか、
やりとり自体が 【ジャズ】って感じだった。



私が通いだした20数年前は、 常連も多く
活気に満ちていた。


マスターと 常連客のおりなす【ライブ】を見てるだけでオモシロいし
私と同様の視線で 楽しんでいる人たちもいただろうな。


とにかく 汚なくて、 超!狭い店で、 
座るにも トイレに行くのも 絶対に誰かの体や荷物にぶつかってしまうような状態。


常連にもランクがあって、
座る場所がある程度【指定】されたり


お客によって 【やめとき! コレの方がオススメや!】
って言うかと思ったら しばらくたって他のお客さんに
【コレ・・・オススメやで!】って、
露骨に 矛盾するアドバイスしたり・・・・。



見ていてイイ気しなかったことも 多い。



しかし、 それを【わかっていながら】 注意もせずに
通い続ける常連たち。



中には 無頓着だったり 鈍感な人もいるが
繊細で 敏感で しかもストレートにものを言う人もいる。



でも、 不思議と トラブルが無い。




とにかく 【良いこと】と 【イヤなこと】の両極端が混在する不思議なお店。



今でも 鮮明に思い出せる。




今まで、 私なりに そのお店について
色々語ってきたもんだ。


イイことも 悪いことも。
言い出せば 何時間でもじゃべれるネタの宝庫。




それをあえて徹底的に要約した一言で表現すると、
【個性的な常連が つくりあげた店】



もちろん マスターは 【自分の個性の結晶だ!】って言い張るだろう。



もちろん その【わがまま】なマスターがいたからこそ
あんなに楽しい店になったんだ。


いざ自分が【飲食】という世界をかじったことによって
初めてわかった。




【お客さんが 店を育ててるんだ!】





実は今日、 来てくれたのが ウチが開業してから 2回目っていうお客さんと
コーヒー談義をした。


色々とコーヒーのマニアックなハナシになっていく。



なかなかストレートなモノ言いが魅力的な人だ。



【うん。 前回の方が好きですわ。】

【今回は、 前面に酸味が出すぎて あとくちの渋みが強くて香りがわからない】って。

これは オモシロい!





私の対応手段は いくつかあったと思われる。



【これは、 こういうもんだ!】って言い張る。
【意地になって作りなおす】
【ウンチク】など【クチ】で言いくるめる。
【謙虚な気持ちで作りなおす】
・・・・・などなど



正直に言おう。
私は 一瞬悩んだ。



しかし、 急に 楽しくなった。



私も感じていた疑問だったのだ。



私は、 事前にこの【豆】に対して 特別の淹れ方を教えてもらった。


しかし、 その場で飲むのと ウチで淹れるのと全然違う。



指定の【豆】の分量では 
いささか【出すぎる】のだ。



【水】の違いか?




いろんな要因はあるだろう。
それを【クチ】でごまかすこともできるかもしれない。



いわゆる【個性】【頑固】を売りにしてるお店なんかは、
お客さんに自分の商品の【押し売り】こそが正義と勘違いし、 
非を認めないってのもある。


ひとりよがり・・・ってさみしいよな。
そんなお店 私は行きたくないし
自分もしたくない。




しかし、あまりにも【自信なさそう】で、 【優柔不断】なお店もイヤだ。



だが、 【鼻につく】店は もっともイヤだ。


マスコミに注目されていようが
ちやほやされていようが ・・・・興味がわかない。



しかし、 自分の研究と 自分の仮説をベースに
お客さんの意見を取り入れ、
未開の境地にチャレンジするのは 大変オモシロそうに思う。




今日は 豆の挽き方・淹れる温度・淹れるスピード・豆の分量など色々工夫した。


 
何杯も飲んで おなかが タプンタプンになったが
結構目的をクリアできた 【味】が出たのである。



オモシロかったし、 自分の幅が広がった。
(もちろん体型のことではない。)




【個性】を売り物にしたお店は
とかく【自分の押し売り】のみに走りがちだ。




まったく【個性】が無いのも考えモノだが


お客さんと【一緒につくりあげる店づくり】 って言うのこそが魅力的だ。




お客さんも 【自分のオリジナル】をつくるために
何度も足を運んでくれるだろう・・・ きっと。





そんなお店があったら、 私が常連になりたいし(笑)



この感覚を 忘れないように 精進したいものだ。





しのだ不動産
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